最後のおたのしみ

そういえば、前日は不安で不安でシミュレーションにシミュレーションを重ねてたっけ。

毎日みんなで何かを動かしてる、達成してるような気持ちに満足してたね。

上手くいかないこと、トラブルが出たことで立ち止まりそうになることもあった。

当日なんてマイクが上手く動かなくて、サインボードに悔しさと謝罪の念を書きなぐった。

晴れ舞台であんな思いを絶対にさせたくなかったから、マイクを通り越して自分に腹が立った。

でも、ありがとうっていう言葉と笑顔で僕を救ってくれたあの人の優しさを忘れない。

思いが形になる楽しさと、現実の壁にぶつかる痛みの繰り返しだったな。

だから最高に気持ちいい毎日だった。



あの日が過ぎて、自分を試す就職活動を始めたね。すごく楽しかった。みんなで励ましあえたから。

何人かの中にある密かな闘争心で前に前に進めたんだよね。僕だってその1人だよ。

みんながいたから、今でも就職活動そのものに誇りをもつことができる。

大企業の内定を取ったとかそういうことより、絶えずチャレンジし続けられたのはおまえらのおかげだよ。



そっからはつらかったね。決して楽しいなんて言葉は出せないや。

でも、僕のスタイルをなんとかなんとか維持させて進むことができたのはやっぱりみんなのおかげ。

このあたりから、同期だけじゃなくて卒論同期の大切さを毎日毎日かみしめた。

みんなつらいし、みんな前を向こうと必死になってる。

だから僕は前だけを向けた。いや、そういう自分をなんとか維持させることができた。

時には、いやっていうほど愚痴をこぼしたし、たくさんの涙を流した。

でも、みんなの前では常に前を前を見続けようって思えた。みんなと前だけを見たいと思ったから。

それを支えてくれる先輩がいてくれたから。

陰で応援してくれている後輩の姿がそこにあったから。



こんなにこんなに楽しく過ごせたのは間違いなくみんなのおかげなんだよ。

打ち上げの場ではきっと照れくさくて言えないだろうから、早めに言わせて。

ありがとう。

この五つの文字で全てを伝えることなんてできないのはわかってるよ。

でも、これ以外に言葉なんてないんだ。

最高の先輩と後輩と、それと同期を持つことができた自分にこれ以上の幸運は望めないや。